タイ北部茶旅2022(2)懐かしのメーサローンへ上がる

少し待ってみたが雨は止みそうにない。宿からバスターミナルへ行き、ローカルバスでメーチャンの先まで行って、そこから山へ行くソンテウを拾うという作戦だったが、そもそもコロナでソンテウが走っているのかもわからず、不安になる。念のためにGrabで探してみると、何と料金がこれまで払ってきたタクシー代の半額程度だったので驚いた。

しかし実際に行く車があるのかとボタンを押してみると、何とすぐにつかまり、こちらに向かってきてしまった。驚いて宿をチェックアウトすると、そこにきれいな車が待っていた。メーサローンへと告げると黙って首を縦に振る。若者だが英語は苦手のようだ。車はチェンライを出て、メーサイ方面に向かう。雨が降っているせいか、運転が非常に丁寧で好感が持てる。

メーチャンの先から山道に入ったが、そこにはソンテウの姿はなく、Grabを選択して本当に良かったと感じる。あそこで雨の中いつ来るともしれないソンテウを待つのはちょっと耐えられなかっただろう。山道は相変わらず急であったが、運転の安定感が救いとなる。途中車は殆どなかった。ちょうど1時間半で懐かしいメーサローンビラに到着した。料金はわずか550b。チップをあげても合計600bでとても安い。驚いたことに料金を渡すときに顔が見えたが、何と男性ではなく、若い女性だった。こんなおじさんと山の中を走るのは不安もあっただろうにと、気の毒に思う。

メーサローンビラは変わっていなかったが、受付の女性は変わっていて私は知られていなかった。まあここに泊まるのは7年ぶりだから仕方がない。取り敢えずチェックインすると、いつもより景色が良い、バルコニーのある部屋へ通された。妙に落ち着く。だが、オーナーはチェンマイに行っており、今日は帰らないことを知る。

取り敢えず雨が止んだので、街歩きを始める。覚えている道よりずっと急な坂道に思えるのは、自分の体力が落ちたせいだろうか。セブンの前は工事中だが、何ができるのだろうか。茶葉を売っている店が並んでいた場所までは実に遠く感じた。段将軍陵墓の入り口を通り過ぎると、ようやくお店が見えてきた。

茶葉を売る広場には人がいない。店もお茶よりドライフルーツをメインに置いている。その先に地元民向けの新市場が出来たようだ。観光客が来なかったコロナ禍での変化だろう。とにかく坂がきつい、長く感じられるのは老いのせいだろう。それでもあと1㎞ぐらい歩いて、泰北義民文史館までやってきた。

文史館の敷地内には、新しく段将軍の像が出来ていた。段希文はメーサローンの歴史そのものなのかもしれない。その生い立ちから生涯をここでじっくり学ぶ。特に1960年代、この地に残って孤軍奮闘する様は、何と言ってよいか分からない。またこの軍隊は75年の蒋介石死去でタイに土着することを決め、武装解除したのかと思っていたが、70年代末でも戦闘をしていた。これはサイゴン陥落やラオス建国など国際情勢が影響していたのだろうか?

アップダウンのある坂を引き返しながら考えても何も浮かばない。腹が減り、途中で麺を食べる。ひき肉がスパイシーな、ボリューム満点の雲南麺、40b。おばさんの中国語が流暢なのは有難いが、若者は中国語を使わなくなってきたように思える。あるいは最近ミャンマーから来た人なのだろうか。

段将軍陵墓にも行ってみる。やはり坂道を歩く。実に静かな、奥まった場所にあった。福の文字が印象的。お墓の前のお供え物、茶杯に葉っぱが直接入ったお茶が置かれている。段将軍は茶業に対してどのような考えを持っていたのだろうか。街中の家の壁に描かれた 好々爺な段将軍の姿。近所には蒋家塞の文字も見える。

宿に帰った。バルコニーからただただ景色を眺める。何とも懐かしい風景が広がっているように思える。そしてかなり涼しい、いや半袖では寒いくらいの気候。標高が高いだけではあるまい。夕方食堂で名物の豚足とスープを食べる。ようやくお茶も出て来る。きれいな夕暮れが流れていく。

9月14日(水)メーサローン2

夜中は寒かったので、毛布を掛けて寝たが、朝はさわやかだった。朝ご飯にはお馴染みのカオトームーを頼む。するとなぜかトーストが出てきたので、折角なので一緒に掻き込む。インスタントコーヒーも付いてくる。それからゆっくりとお茶を飲む。そしてまた風景を眺める。

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