スリランカ紅茶の買付茶旅2016(14)コロンボまで列車旅

2月13日(土)
9.コロンボまで
長距離列車の旅

朝は6時台に、鶏の鳴き声で起きた。朝日がまぶしい。少し霧のかかった茶園が窓から見え、なんとも好ましい。何しろ駅のすぐ横に泊まっているアドバンテージは大きい。慌てる必要もなく、ゆっくり過ごしていた。だがいざ出発の時間になって、急にトイレに行きたくなるなど、ちょっと緊張感がなかった。疲れていたのかもしれない。外に出ると天気は良かった。鍵を返して駅へ向かう。

 

駅の入り口はかなり込み合っていた。切符を買うための長い行列ができている。こんなに人が乗るのだろうか。何とか人垣をすり抜けて、ホームに達すると、そこには白人バックパッカーや観光客の姿もあった。また中国人の鉄道オタクと見られる2人連れが、しきりに写真を撮りまくり、1つ1つの場所について、何やら確認していた。私もシャッターを押す。残念ながら、日本人の姿はなかった。

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定刻を少し過ぎたころ、列車が入ってきた。意外と正確な運行がされている。1等車は後ろの方で待つ。大勢の人は前の方の3等車へ。自由席なのか、我先に乗り込む。私は悠々と乗り込み、指定された席に着く。乗客はそれほど多くはない。主に白人の観光客が乗っており、ほんの少しだけ、スリランカのお金持ちの夫妻がいた。1等車両は1両しかないようで、隣は2等車だと言われたが、座席が少し良い以外は、それほどの違いは感じられない。これなら料金が半分である2等の指定席で十分だったと気が付いたが、後の祭り。まあ、折角なので1等列車の旅を楽しもうと思う。

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車掌がきちんとした制服を着こんで、切符のチェックに回ってくる。この辺はイギリス仕込みだ。さすが1等車、エアコンはかなり効いており、ずっと乗っていると寒くなる。テレビ画面もあり、インド映画が映し出されている。これがなかなか面白くて、見入る。列車はミャンマーほどではないが、やはりゆっくりと走っており、基本的に各駅停車、特急やら急行やらはないように見える。朝早かったので、皆思い思いに寝込んでいる。

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今回この列車に乗ったのには理由があった。それは車窓から茶畑がきれいに見えると聞いたからだった。30分も走っていくと、ところどころに茶畑が出現してきた。緩やかに曲がるカーブから車両が見えて、何ともよい感じだ。ただ車窓から写真を撮ろうと思うのだが、うまくは撮れない。よい風景があれば、乗り降り口まで行き、停車中にそこから乗り出して撮るしかない。これが3等車なら、元々ドアがないから、自由自在だったろう。1等は不自由だ。そこには常にカメラオタクの白人が陣取っていて、なかなかうまくいかない。しかも車掌が鍵を開けない限り、このドアは閉まったままだった。

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列車から茶畑を眺める旅、それは残念ながら退屈なものだった。窓が開かないため、香りが飛んで来る感じはない。一面の茶畑がずっと続く訳でもない。30分も見ていれば、もういいや、という感じになる。恐らく茶畑を見るだけなら、ヌワラエリアからキャンディまでの3時間も乗れば十分だろう。

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その内に腹が減ってくる。朝から何も食べていなかったことに気付く。だが、この列車には食堂車などは付いていない。そしていわゆる車内販売などもない。白人観光客は、宿泊先ホテルからランチボックスを調達しており、ぼちぼち食べ始めていた。たまに停まる駅でも食べ物を売っている雰囲気がなかった。どうするんだ、コロンボまで9時間もあるんだぞ。すると、停車駅から若者が乗り込んできて、ペットボトルの水や飲料の販売を始めた。取り敢えず1本購入した。50rpは高いか。

 

そして次の駅ではホームに物売りの姿があった。見てみると、揚げ物を売っている。まずは食糧確保を優先し、最小限の食べ物を乗り出して買ってみる。正直昨日から疲れが出ており、食欲はさほどない。揚げ物を食べる気にはなれなかったが、他に方法がない。だが食べてみると意外にうまい。そうこうしているうちにハットンに着いた。ここは先日クマさんたちとの茶園巡りの中で通り過ぎた街だった。私はスリランカのこの付近の地理がほとんど頭に入っていなかったが、随分と遠かったんだな、としみじみ思う。いや、列車の速度が遅く、車の方が速いということだろうか。

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キャンディまではハプタレーから5時間半ぐらいかかった。ここではペラデニアジャンクションというのがあり、一度キャンディの街に入ってから、また出てきて方向を変える。この辺は鉄道マニアのツボ、らしく、何台ものカメラが設置され、この駅で一度降りて、折り返してきた同じ列車に乗り込むものもいた。キャンディの街は以前の記憶からすると、ビルが増え、随分と発展しているように見えた。他の駅が大きくなかったので、巨大な街、巨大な駅が出現したような印象を受けた。

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勿論ここで多くの観光客が降りて行った。私も列車の旅に飽きていたので、降りてみたかったが、列車料金がコロンボまで行っても、ここで降りても変わらなかったことから、もったいないと思い?そのまま乗ってしまった。更には降りても宿を探すのが面倒だった、というのが本音かもしれない。

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ここから先はかなり単調な風景となり、携帯の電池も切れ、もう眠るしかなかった。因みに充電器は車両に幾つもなく、充電の機会を逸してしまった。少しずつ都会に近づいているように見え、また田舎の農村風景に戻り、そんなことが繰り返されていた。そして時々停まる駅の乗客がやはり少しずつ洗練されてきて、若いカップルが仲良くベンチに座っている風景なども見えてきた。ルアさんの家のあるガンバハも通り過ぎた。そして午後4時過ぎ、ついに列車はコロンボフォートに入った。

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