静岡茶旅2023 その2(2)焼津から掛川・森町へ

8月29日(火)焼津から掛川・森町へ

朝起きて宿のご飯を食べる。ここの朝食は地元料理など、かなり充実しているので、ついつい食べ過ぎてしまう。今日もまた焼津へ向かう。午前8時台のJRでもラッシュという感じは全くない。駅で拾ってもらい、少し走って、少し上ったところに、林叟院という立派なお寺がある。風がさわやかに吹いている。

1471年創建の曹洞宗の古刹。長谷川次郎左衛門(鬼平犯科帳で有名な長谷川平蔵の先祖)が開基という。1573年には武田軍により寺は消失してしまうが、江戸時代徳川家光から朱印状を受けるなどして、現在に至る、とある。

ご住職は今日からアメリカへ行くというのでお会いできなかった。現住職の実父であり、先代住職の鈴木俊隆師は、アメリカ西海岸で禅の教えを広めることに心血を注ぎ、曹洞宗では海外布教の第一人者と言われているという。アップルの元最高経営責任者、故スティーブ・ジョブズ氏もまた俊隆師や、俊隆師によって招かれた乙川(知野)弘文師から学んだ多くの生徒の一人だというから、その繋がりに驚く。

奥様からお話をちょっと聞く。ここから登る高草山一体は戦後一面の茶畑で、摘まれた茶を持って、走り降りてくる男たちがいたのをよく覚えている。それも昭和40年高速道路が通った頃から下火になり、いつの間にか茶畑は少なくなってしまった。まあ今でも茶作りをしている檀家さんはいるが、その数は極めて少ない。

そこから車で山を登っていく。上るのは簡単だろうと思っていたら、意外と道に迷う。更に老人が散歩させている犬が道をふさぎ、車はなかなか進まない。ようやく頂上までやってくると、何とも天気が良く、見晴らしは抜群、太平洋が良く見える。その前の斜面には茶畑がある。一部在来種で、一部はやぶきたらしい。この茶畑と太平洋を眺めながら、お茶を飲んだらいいだろうな。茶屋は出来ないものだろうか。笛吹段公園という名前も見える。

そこからTさんのお店に戻り、また黒べにふうきなどの資料を頂く。何とも有難い。昨晩のIさんの話が更に鮮明に蘇る。そして車は掛川へ。Iさんの話で、清水俊二さんの実家が大須賀町の江戸期から続く海鮮問屋であったこと、そしてその邸宅が今も残っていると聞いたので、取るものも取り敢えず行ってみた。

確かにそこには立派な邸宅があり、今は掛川市に寄贈され、一般公開されていた。大きな池と庭園の奥に母屋があり、そこで係の人にお話を聞くと、色々と清水家についての資料を見てくれた。本家はすぐ横に今もあるが、当主は住んではいないようだ。俊二は次男だったので家を出ている。彼が茶の世界の入ったのは、この海鮮問屋と関わりがあるのだろうか。抹茶ドリンクを飲みながら考えるが、よくわからない。

昼ご飯は近くの和食チェーン店へ入る。この付近には昔ながらの食堂などもあるだろうが、地元の人のお勧めはチェーン店だった。まあ確かに何でも食べられるし、価格も手ごろということか。観光客が多い場所とは思えないが、街おこしのような古い町並み再現の店は割高ということか。

午後は森町へ向かう。文化会館にM館長を訪ねて歓談する。今度藤江勝太郎の講演会が開かれると聞き、何とも喜ばしい。藤江だけでなく、他の森町出身茶商についてもぜひ知りたいと思い、お話しを聞く。岡野利兵衛は何も出て来ないが、村松吉平は少しずつ何かが見えてくる。

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