北京及び遼寧茶旅2019(4)山海関と秦皇島

すぐ近くに立派な門があった。今や観光地の秦皇島だから、テーマパークのような公園でもあるのだろう。だが今日は日曜日だというのに、門は固く閉ざされていた。秦皇島の冬は完全なオフシーズンであり、開門しても採算が取れないのだろう。仕方なくその向こうをぐるっと回って何とか海に出た。

 

ビーチがあったが人影はまばら。夏は沢山の海水浴客が訪れるらしいが、本当に冬は誰も来ない。気温はそれほど低くはないが、今日は曇り空。そこへちょうどいい具合に薄日が射してくる。何となく秦皇島の雰囲気になってきているようだ。海から突き出して橋が架かっており、その先に石碑のようなものが見える。そこを渡るのに2元支払う。おばさんが『釣りの人かい』と聞いてくる。

 

渡っていくと、何となく始皇帝が不老長寿の秘薬を求めて渡海する気分になれる。釣り用のボートが横付けされているが、これに乗れば海の向こうへ行けるのだろうか。日差しが少しずつ強くなり、視界が開けてくる感じもある。だがそれ以上は特に何も起こらない。そしてトボトボと引き返すのみ。2200年前、始皇帝は本当に海を渡ろうとしたのだろうか。

 

バス停に戻り、来たバスに乗り込み、街の中心部でバスを乗り換える。ここでスマホ修理屋が空くのを待とうかとも考えたが山海関に行くバスは分かっているので、取り敢えず行ける所まで行ってしまおうと思う。最近の行動としてはかなり無謀だな。33番のバスは、先ほど乗ったバス停も過ぎ、秦皇島駅も通過して、一路山海関を目指す。路線バスなので何十ものバス停で乗客が乗り降りし、かなりの混み具合の中、1時間後ようやく山海関の街に入る。

 

ここは秦皇島とは別の街であり、電車の駅も別にあるようだ。山海関という文字が見える場所でバスを降り、そのまま中に入っていく。かなり歩くと入り口があり、15元を払って入場する。ここの料金も冬季割引があり、50元のところが15元らしい。まばらながらここには観光客がいた。登っていくと、なかなか眺めがよい。建物があり、天下第一関と書かれており、ここから万里の長城が始まるのだな、と思える。

 

関をずっと歩いて行くと、ここを守った人などゆかりの人の展示もあり、興味深い。元々は明末、万歴年間に建てられた建物が多く、それを1980年代に修復している。異民族の侵入を守る砦、明が滅んだときも、ここから満族が侵入してきている。万里の長城の端を見学するには、ここから更に行かねばならないようだが、私は天気の良いここでの散歩で大いに満足した。

 

更には長城博物館にも立ち寄り、長城が2600年も前から作られ始め、各時代の長城の範囲などが地図で示されているのは参考になった。我々が思う長城はごく一部だったということだ。そして抗日戦争中の長城の写真が展示してあり、日本軍が一部を破壊した様子も見られた。

 

またバスで帰ろうとしたところ、ちょうど屋台が出ており、いい匂いをさせていたので菓子餅が食べたくなる。おばさんに注文すると、『微信支払いできるか』と言われ、現金でというと見せろと言う。10元を見せると、何と10元分、ぎっちり詰め込まれた餅が出てきてビックリ。お釣りはないので現物支給だ、と言わんばかりに10元を取り上げられた。今回北京でも、ここまではっきり現金ノーを突き付けられたことはなく、驚くばかりだ。これも観光地での新手の商売戦略の一環かもしれない。

 

バスでまた市内中心部へ戻る。僅か2元でこんなに長い距離を走れるのはうれしい。だがスマホが使えないので正直退屈でもある。バスを降り、見つけたスマホ修理屋に駆け込んだ。おばさんが『どこが壊れたんだ』と聞いてきたので、画面が真っ暗だと告げると、ほんのボタンを1-2押して、あっという間に解決してしまった。ようやく私が何かで操作を誤り、画面の明るさを0にしてしまっただけで、壊れてはいなかったのだと分かる。おばさんも呆れてしまい、『早く帰って、商売の邪魔だ』という顔をしたが、私としてはホッと胸を撫でおろした。

 

バスで宿へ戻ると、またCCTVを点ける。今日は日曜日だから各種目の決勝が行われている。バド男子はシングルスで桃田が優勝。最近の彼の強さは際立っている。女子ダブルスは期待の永原/松本が精彩を欠く試合内容でがっかり。中国ペアの良さだけが目立つ試合となった。卓球も女子シングルスは世界ナンバーワンの陳夢が貫録勝ち。

 

あっという間に外は暗くなり、また夕飯を探す旅を始める。すると向こうの方に鉄道チケットを売る店があるではないか。最近は皆がスマホで予約するため、このような店はどんどん減っているのだが、折角あったので、明日の葫蘆島行きだけでなく、営口、瀋陽、北京と回るチケットを全てここで買ってしまった。日程は固定されてしまったが、もうこれでチケット窓口に並ぶ必要はない。外国人にとってはこういう店に残って欲しい。チケット代も全部で400元ちょっと、やはり中国は日本に比べて相当と安い。

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