香港つかの間茶旅2017(1)香港国際茶展へ

《香港つかの間茶旅2017》

香港には長く住み、愛着もあったが、最近は近寄らなくなっていた。それが昨年あたりから日帰り程度で通い出し、今年3月には2年ぶりに滞在した。やはり香港はいい、と思うところもいくつもあり、また宿泊料金などが下がったことも寄与して、今回香港経由で広東へ向かうことになる。

 

8月19日(土)
香港の宿

朝8時50分羽田発香港行きの便に乗る。もう気分は完全にサラリーマン時代の出張だ。機内食を食べてから寝ているうちに、着いてしまう。ボーっとした状態で空港に降り立つ。実はパスポートを更新してから初めての香港。古いパスポートに貼られていたe-道のステッカーをもらうため、専用デスクへ。何の審査もなく、3分でゲット。これがあれば、陸路で中国へ行く場合も長い行列に並ぶ必要がなく、有り難い。

 

外へ出る。いつもはここでスマホのシムカードを買うのだが、今回は奥さんが買っておいたシムを使ってみる。だが差し込んでも機能しないので、仕方なく中国系メーカーのブースを探して持ち込む。やはり私のスマホ内の日本シム設定が邪魔をしていたらしく、それを削除すると、すぐに使えた。これもまた有り難い。

 

バスで銅鑼湾へ向かう。ここまでランディングから35分。この辺のスピード感は香港が一番であり、それは私がかつて慣れ親しんできたものであり、なんとも好ましく、テンションが上がる。今日の天気は最高であり、橋を渡る時の景色も素晴らしく、気分も上々となる。バスも40分で目的地に到着。

 

前回予約して意外とよかったゲストハウス、今回は違うところを試してみることにした。料金はさほど変わらず、住所もほとんど同じだ。だがその住所に行ってもゲストハウスの表示はない。住民に聞く訳にも行かず、仕方なく前回宿泊した時の受付に行き、聞いてみることにした。

 

すると驚いたことに受付はここだという。結局同じ系列で名前だけ別にしていたのだ。前回は宿泊する部屋は別棟だったが、今回はここの上で荷物の運搬が助かる。だが部屋には机がなく、ちょっと難儀する。同じような部屋を予約しても、形状はみな違うようだ。この民泊のようなゲストハウス、立地もよく、料金も手ごろなので常に混んでいる。

 

茶博へ

実は香港に行くことを決めたものの、特にやることはなかった。すると図ったようにFB上でのお誘いがある。ちょうど香港国際茶展というイベントが行われているというのだ。会場も近いので早々行ってみることにした。地下鉄だと降りてからが遠いので、バスで向かうが、今日が土曜日だということを忘れており、狙っていたバスは来なかった。仕方なく近くまで行き歩く。天気はいいが、その分当然ながら暑い。

 

会場近く、地下鉄駅から続く陸橋に上がってみて驚いた。すごい行列なのだ。香港の茶博がそんなに人気があるとは夢にも思わなかった。暑い中、クーラーもない中、大勢の人が並んでいる。若いカップルや家族連れが多い。土曜日の午後だからだろうか。しかしよくよく見てみると『香港美食展』という表示が目に入る。

 

どうやらこれを同時に開催されているらしい。帰っていく人を見ると戦利品として日本食品などを大量購入している人々がいる。やはりなんと言っても美食の街、香港。食べ物に対する要求、欲求は高く、そのエネルギーが人々を美食展に向かわせている。何とか茶博だけに入る道を探るも全く隙間はなく、延々並んで待つしかない。

 

ようやく屋内に入った頃にはもう疲れ果てていた。それでもここまで来て帰ることは出来ない。美食展を横目に5階まで上がると、そこにはそれほどの人はいなかった。これが茶の置かれている現実だ。会場内もそれほど人はいない。ただ何となく人だかりがあったので寄ってみると、そこは日本ブースだった。和服を見た女性がお茶の点て方を教えていた。香港の人も中国の人も興味津々でお茶を習って、自ら点てていたのは微笑ましい。

 

ここで和服を着た、オスカルさんにも出会った。彼は日本茶好きの外国人として、日本でも知名度が上がっており、外国人が外国人に日本茶の良さを知らせるという仕事で、ここに来ているという。出来れば抹茶や茶道ではなく、煎茶の普及を図って欲しいが、どうだろうか。

 

その横へ行くと、静岡などの産地から茶商が来て日本茶を売りこんでいる。そのうちの一つに聞けば、既に香港そごうに出店し、煎茶を販売しているというから、ちょっと驚いた。基本的に中国系の人は日本の煎茶をあまり好まない傾向にあり、日本に比べてその単価も高い煎茶が売れるとは意外だった。煎茶にチャンスはあるのだろうか。

 

最後に九州のブースで辻利さんを見つけた。彼は現在世界各地に喫茶の店を大展開しており、ここ香港にも最近出店している。茶葉はなかなか売れないといい、ドリンクやパフェなど、消費者の嗜好に合った形で提供することを考えている。中国の抹茶生産の勢いなど、貴重な情報も得ることができた。隣ではハラール認証をとったお茶を売る店も出ている。日本茶に変化の兆しはあるだろうか。

 

中国茶は香港という土地柄か黒茶系の店が多く出店していたが、すでに飽和状態なのか、それほど人を集めておらず、帰り支度する姿もあった。一時は茶葉取引の中心的な役割を持っていた香港も、近年の中国パワーに押され、参加者も伸び悩んでいるとの話もあり、その位置づけはちょっと微妙のようだ。

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