ミャンマー激走列車の旅2015(12)車で中国国境ムセへ

 ソンテウに乗り10分ぐらいで、街道に出た。そこで降ろされた。ティボーにはバスターミナルはなく、ただ街道を通るバスが乗客を拾うシステムになっていたが、バス会社に聞くと『今日のラショー行はもうないよ』と素っ気ない。じゃあ、どうするんだ?やはりティボーに1泊か。しかしS氏のラショーへ向かう姿勢に揺るぎはない。車はないのか、と言い出すと、向こうから中学生ぐらいの女の子が現れ、英語を話した。彼女は『お父さんが運転していく。料金は5万k』と簡単に言う。他に手段はないので、その話に乗ってみることになる。

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やってきた車は荷物を運ぶピックアップだった。彼はいつもこの車で荷物をラショーや中国国境のムセまで運んでいるらしい。既に周囲は真っ暗。S氏を助手席に乗せようとしたが、当然のようにNさんと一緒に荷台に乗ってしまう。私が助手席に乗るのは申し訳ないと言うと『これは仕事だから』と助手席に押し込まれた。荷台にはさっきの女の子とその兄貴も乗っている。通訳とボディガードか?何だか囚人が運ばれていくような鉄格子が付いていた。先が思いやられる。

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暗い夜道を車は走る。まずはガソリンスタンドで給油した。今日はもう走ることはないと思っていたのだろう。途中トラックの渋滞ができているところがある。何と雨で土砂崩れが起こっているらしい。果たして辿り着けるのか、と心配になったが、何とか通り過ぎた。大きな木がなぎ倒れていた。2時間後に車がフラフラと、ラショーに入った。おとうさんが私に『このホテルでどうだ』とラショーの街の入り口付近を指さしたが、ここがどこか分らず、もっと街中へ行くようにお願いした。そして地球の歩き方に載っているホテルに連れて行ってもらった。

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ラショーで

時刻は夜10時を過ぎていたが、そのホテルに部屋が確保できた。本当にミャンマーは3人部屋が整っていて、まず断られることがない。1部屋40ドル、狭いが寝るには問題がない。かなり疲れていたが、腹も減っていた。この旅の特徴は食事が不規則なことだ。私は中国的な人間になっており、まずは何を置いても飯を優先するが、他の2人は旅を優先するので、当然それに従うことになる。

 

しかしこんな夜遅く、しかも街のほとんど寝静まっているように見えるこの場所でご飯にあり付けるのだろうか。ホテルのガードマンのおじさんに聞くと、親切にもその場所まで連れて行ってくれた。ホテルから5分ぐらい歩いたところにある屋台。そこではまだ人が食事をしていた。虫の揚げ物も売っていたが、鶏肉や肉団子でご飯をかき込んだ。腹が減っていたので美味いと感じたが、それほど量的には食べられなかった。既にこの旅を初めて、1週間。疲労はピークに来ていた。私はこんな旅に全く慣れていなかったのである。夜はシャワーも浴びずに布団をかぶって寝てしまった。

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7月29日(水)

翌朝の目覚めは悪かった。出来れば起き上がりたくないほど、疲れていた。頭が重い。本来はラショーで鉄路は切れており、ここで今回の旅は終了だと思っていた。だが今日も旅は続く。車を手配して中国国境のムセまで行くことになっていた。鉄道の旅は続かないが、国境まで行き、一応今回の旅を締めくくる。次回は何と中国側の国境、瑞麗から始まるらしい。何という旅なんだ。そんなことを今さら言っても仕方がない。まずは朝ご飯を食べようということで、街歩きが始まった。フラフラっと一軒の店に入る。

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ティミックスを頼み、横を見ると何だか丸いまんとうの様なものがある。これは何だと聞くと、主人は黙ってこれを伸ばし、焼き始めた。パンのように発酵させていたのだ。意外とうまい。甘いティミックスとよく合っている。ホテルに戻ると、予約していた車が来ていた。ムセ国境往復100ドル、これはミャンマーとしては破格に高い。しかしこれ以外に道がない。バスも走っているらしいが、外国人が乗れるという保証はない。

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ムセ

車はラショーの街を出て、山道に入っていった。列車の旅に比べて車の方が楽だと思っていたが、そうでもなかった。後部座席にはS氏と私だけだし、荷物はホテルに置いてきているので、どう考えても楽だったのだが、列車のように身動きできない中で、前後左右に揺さぶられると結構厳しい。この運転手もまずはガソリンスタンドへ向かう。ここではお金が入り、運行が決まるとガソリンを入れるようだ。

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ここもアジアンハイウエーだが、とてもハイウエーとは思えない山道。走っているのも大型のトラックばかりで、スピードも上がらない。トラックにカメラを向けると運転手がVサインで応じてくれた。2時間ぐらい走ったところで車が停まり、運ちゃんはタバコを吸っている。景色を眺めても何もない。更に30分ぐらい行くと村が見えてきて、いよいよムセかと思ったが、そこからがまた遠かった。そんなに簡単にこの旅の終焉は訪れない。

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