タイ南部を歩く2019(4)ボートに乗ってミャンマー コータウンへ

8月12日(火)
コータウンへ

翌朝は一転、よく晴れていた。ハジャイに戻るのは明日にしていたので、今日はダメもとでミャンマーを目指すことにした。というのは、ホテルのフロントの感じの良い女性に聞くと『ここからミャンマーに渡るのは、今は雨期だからダメで10月以降解禁だ』と言われたからだ。

 

まずはどうやって港まで行くのか。ネットで検索すると、ソンテウの番号まで出てきたので、市場まで歩いて行き、それを探す。運転手に『ミャンマー』と叫んでみると、これに乗れ、と指さされたので、ソンテウに乗り込む。一緒に乗っている人々はほぼミャンマー人だったから、彼らについて行けば何とかなるだろうと思った。

 

30分ぐらいでソンテウは港に入った。乗客はどんどん降りて行き、向こうで待っているボートに乗り込んでいく。なんだ、誰でも行けるんだ、と安心したが、私はタイを出国しなければならない。イミグレオフィスはすぐ横にあり、そこに入っていくと『あなたはここに戻りもう一度タイに入国しようとすれば、これで今年2回目の陸路入国になるので、今後は陸路では入れませんよ』と念を押される。こんなことは初めてだが、承諾する以外に出国の道はない。

 

手続きが済むと、ボートの客引きがやってくる。どれに乗ってよいか分からず、とりあえず聞いてみると、100バーツだという。もっと安いボートはないかと聞いたが見つからず、適当に乗ったボートは客が集まらず、なかなか出発しない。他のボートはお客までが客引きして、出発を早めようとしている。

 

ようやく出発すると、助手の男がすぐに身分証を回収する。私のパスポートも預けたが、彼はずっとそれを手に持っており、落としはしないか気が気ではなかった。出発してすぐにボートのチェック基地があり、そこを過ぎると30分ぐらい揺られていく。天気が良いので特に心配はないが、海が荒れたら大変だろうな。

 

コータウンの港に着くと、乗客は我先に陸に上がり、そのままどこかへ姿を消してしまった。私は周囲をキョロキョロしたが、イミグレが見付けられず、オロオロする。密入国になってしまうではないか。何とか建物を見つけてパスポートを差し出すと、パスポートのコピーが必要と言われ、表に出てコピーして戻る。この間も入国手続きしていないのに、自由に歩き回る。もう密入国だ。

 

日本人はビザ免除なので、すぐにハンコは押された(以前は日帰りビザで10ドル支払っていたらしい)が、『いつ帰るんだ』と聞かれ、今日と答えると、何と2つハンコが押してある。『帰りはここに来なくていいよ』と言われ、すでに出国のスタンプが押されていることが分かる。何と合理的な、いやずさんなイミグレだ。ここは完全に自己責任型なのだと理解し、密入国者はいとも簡単にできる、ことも分かる。まあ国内に手引する人がいなければすぐに捕まるだろうが。何故タイの国境付近の警備が厳重化、その理由が分かったような気になる。

 

街を一周してみたが小さなところだった。取り敢えず腹が減ったので、食堂に入る。汁なし麺を頼むとこれが予想外にうまい。スープは別についてくる。そしてティーミックス。甘いがとてもいい。店の人々は華人のようだが、英語も話すので助かる。手持ちのミャンマーチャットで支払う。

 

小高い丘に登り、全体を見渡してみたが、やはり海に張り付いた狭いエリアに住居が見える。向こう側の丘には寺院が見えたので、そこまで歩いて行ってみる。この登りは意外と疲れる。しかも雨が降った後なのに、寺に入るには靴も靴下も脱がなければならず、ちょっと困る。

 

市場の中も歩いてみたが、茶葉を見ることはなかった。発酵食品系の物は色々とあり、興味深い。スーパーがあったので、そこでティーミックスを買い込んだ。私がミャンマーに来た目的はこれだったのか、と思ってしまう。でも暑い国を歩いていると無性に飲みたくなる。コーヒーではないのだ。最後は歩き疲れて休むために食堂に入った。肉まんを食べて、コーラも飲んだ。

 

僅か3時間の滞在でコータウンを離れることにした。帰りのボートを探していると、すぐに出るというのがあったので乗り込んだ。ところが乗客は私一人。大丈夫かと思っていると、ガソリン代がないから金をくれという。渡さなかったら、知り合いのボートからガソリンをとって自分のボートに入れている。ちょっと危険を感じたが、結局何事もなくラノーンまで戻ることが出来た。

 

一応入国スタンプももらい、またソンテウに乗って帰った。まさにショートトリップの国境越えだった。市場でまた腹が減り、麺を食べる。鶏肉入りで具沢山の麺、これが実にうまい。また食べたいな、と思いながら、宿に戻り休息する。夕方外へ出たが、目的はTシャツを買うこと。それを終えると、おばあちゃんが鶏肉をいい匂いを出して焼いていたので、思わず買い込む。1本5バーツ。安くて旨い。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です