タイ南部を歩く2019(2)トランへ行くはずがラノーンへ

8月9日(土)
山田長政はどこ?

私がこの辺鄙な?ナコンシータマラートに来た理由、それは『山田長政が死んだ場所』と聞いたからだった。アユタヤなどには日本人町が作られ、山田の名前も出てくるのだが、彼の最後の地がここだ、というのは意外だった。それも殺されたのだ、と言われると、興味を持ってしまった。

 

まずはホテルに付いている朝ご飯を食べる。昨日はあまり食べていなかったので、カオトームの他、パンも食べてしまう。団体客は既に食べ終わって去ってしまったらしく、ゆっくり食べられてよかった。それからすぐに外へ出て、この街の散策を開始した。ここにはバスはないらしいので、歩きか。

 

最初に行ったのは宿の近く。古い仏塔があったが、観光地ではないらしく、説明書きすらない。そこから広い通りに出ると、ソンテウが走っており、博物館まで行きたいとスマホを見せると、運転手が頷いたので乗り込む。ここのソンテウ、全て10バーツらしい。バイタクより便利で、本数も多い。

 

博物館は5㎞ぐらい離れていたが、通り沿いだったので助かる。かなり立派な建物だったが、私が知りたい山田長政に関するものは勿論、その時代の展示もほとんどない。タイでは山田は知られた存在ではなかったということだろう。この街が中世の重要貿易拠点だったことは確かのようだ。展示物はかなり多いのだが、他の都市の博物館にも大体ある仏像などを眺めて過ごす。

 

それから歩いて、観光のメインと言われているワット・プラマハタートに向かう。その隣にも興味深い寺があり寄り道する。ワット・プラマハタートは確かに立派なお寺で、その仏塔もなかなか見ごたえがある。寺院内の立像もその輝きがかなり立派でしばし立ち止まる。

 

その後、またソンテウを拾い、城壁まで運んでもらう。その昔の城壁の一部が残っており、堀で仕切られていた。城壁横の廟もかなり美しい。ちょうど何か祈りが行われており、坊さんたちが食事中だった。そのままフラフラ歩いて宿方面へ帰る。昼食の場所を探すのも大変で、何とか麵屋を見つけて飛び込む。

 

宿へ帰って午後どうするか考えていると、突然強い雨が降り出して外出できなくなる。ちょっとしたスコールだろうと思っていたが、雨は3時間以上降り続き、結局午後の散策話になってしまった。夕方は未だ小雨が降っていたが、今度はこのホテルに向かって車が大挙してなだれ込んでくるのが窓から見えて驚く。どうやらここで結婚披露宴でもあるらしい。この雨の中、着飾った人々が次々に中に入ってくる。私は益々外に出られない。

 

ようやく雨が止んだのを見計らって表へ出た。とにかく何か食べたい。辺りは既に暗く、飢餓感に追い打ちをかける。昨晩とは違う道を歩いて行くと、何だかきれいな食堂が見えた。ただメニューから注文する方式らしく、タイ語が分からず注文が出来ない。そこの若者は英語ができたので、炒飯と言ってみると、おしゃれな炒飯が登場した。ここはバーにもなっているようだが、料金は普通の食堂並みで有難い。

 

8月10日(日)
トランへ行くはずが

幸い雨は降っていなかった。朝食後にチェックアウトして、道を歩き出す。今日はトランへ行くつもりだが、バスターミナルまで歩いては行けなさそうだったので、バイタクを拾う。ヘルメットを渡され、ちゃんと被ったつもりが、何と途中で抜け落ちてしまう。後続車に被害がなかったからよかったが、かなり焦る。

 

ホテルのフロントで『トラン』と言ってみたが通じなかったので発音が難しいことは分かっており、何べんも練習してきた。ターミナルの人にその成果を披露すると、すぐに通じて、チケット窓口へ案内され、120バーツ支払ってチケットをもらい、ミニバスに案内された。運のよいことにすぐに満員になり出発した。

 

ところがどう考えても行く方角が違う。最初はこちらの方から行くのが早いのだろうと思っていたが、スマホ地図で見ると完全に反対方向で、北上しているのだ。それに気が付いてもどうすることもできない。途中で降りても厄介なので、まあ到着するまで待つしかない。チケットもらっても、ミニバスの車体を見ても、タイ語が読めなければ、何の意味もない、とわかる。

 

2時間後、スラッタニーに着いた。こんなことが世の中にはあるんだな。この街は昨年訪れており、ターミナルの様子などには見覚えがあった。だがここで見るべきものはもうない。どうするか、戻るか。その時急にひらめいた。そうだ、ミャンマーへ行こうと。唐突だが、この半島の反対側にラノーンという温泉で名高い街があり、そこからミャンマー最南端に行けると聞いていた。時間的な余裕もあるので、この際ポジティブ思考、この間違いを利用して行ってみることにする。

 

聞いてみると30分後にラノーン行きがあるという。トイレに行くだけで食事もとらずにそのミニバスに乗り込んだ。そこから北上して、更に半島の山道を延々と横断し、更にまた反対海岸を北上。4時間ほどかかって、何とかラノーンに着いた。正直ナコンシータマラートからトランまで2時間以内の旅を想定していたので、合計6時間以上はかなり疲れてしまった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です