インドで自然療法2018(2)プネーへ

心配だった荷物が無事に自分の手元に戻って来た。だがもう一つ心配があった。それは予約してもらっている運転手がちゃんと待っていてくれるかどうかだ。先ほどビザ代を持ち合わせのルピーで払ってしまったが、ここで両替する気にもならず、そしていつもなら購入するシムカードも、昨年のトラブルでラトールさんから止められていたので、とにかく外へ出てみた。

 

いつものように大勢の人が待っていたが、その中に私の名前を見付けてホッとした。同時に相手もホッとしている様子が見てとれた。まあ2時間近く出てこないのだから、本当に来るのか心配だったことだろう。彼は『腹は減っていないか』と聞いてきたので『それより早くプネーに行こう』と言ってしまった。実は腹が減っていたのは彼の方だったに違いない。

 

車は夜のムンバイを走り出す。初めてこの空港に来たのは2009年のこと。当時はすぐ近くにスラム街があり、夜中に異様な光を放っていたように見えたが、今はもうない。20分ぐらい行くとプネーへの道が近づいているように思えたが、車は急にそこで停まる。何と横にはマクドナルドがあった。

 

『これから何時間もかかるので腹が減るからそこで何か買って車で食べて』というではないか。そして自分は要らないという。何とも困ったが、彼の心遣いに感謝して、店に入る。何年か前に入ったことはあるが、その時買ったのはベジバーガー。まあ、コロッケが入っている感じだ。

 

今回メニューを見てみると、さすがにビーフやポークはないようだが、チキン全盛でフィッシュもある。食べているのは若者ばかりだが、皆チキンを食べ、コーラーを飲んでいる。そして働いているのも若者で、『お待たせしました』などと言いながらテキパキ捌いている。しかもすべて機械化されており、注文を入れると、その番号が印字されて出てくるから間違わない、らしい。私はフィレオフィッシュを買って車に戻り、食べた。味は変わらない。

 

それから郊外に出て、少し行くとデカン高原を登り始める。何となく9年前を思い出すが道もよくなっているのだろう。スムーズに過ぎていく。その後サービスエリアに入った。トイレ休憩かと思ったが、彼はここで食事をした。私はチャイだけをもらったが、それほど旨いチャイではなかった。深夜近くだが、お客は多い。この雑多な感覚がインドを呼び起こす。

 

ついにプネーの街に入ったのは夜中の1時近かった。結局4時間ぐらいかかったから、昔と変わらないようだ。車も殆ど走っていない街中を疾走し、ラトール家に着いた。私は携帯を持っていないので、運転手がラトールさんを呼び出してくれた。彼は『これからロナワラへ帰る』と言って、さっさと帰っていった。ご苦労様でした。

 

勝手知ったるレトロなエレベーターを上がり、部屋に招き入れられた。ラトールさんもこんなに遅くなるとは思っていなかっただろう。水をもらって、そそくさと寝る準備をしたが、先ほど飛行機で寝たせいか、またはインドに来た興奮からか、すぐには眠れず、今日起きた出来事を反芻する。そして日英二か国語版のアニメ、金田一少年の事件簿をパラパラめくる。こんなアニメがあるんだな。

 

2月13日(火)
ニサルゴプチャールへ

翌朝は頭が少し重かったが、何とか起き上がる。この部屋にも何度か泊めてもらったが、今回も壁が塗り替えられ、どんどんきれいになっていく。これがインドの発展のように見える。ラトールさんがチャイとクッキーを持ってきてくれた。これが旨い。有り難い。そこでお互いの近況を話し合い、彼が日本企業の代理店をしていることを知る。インドに進出したい企業はあるが、そのやり方も人材もないので、ラトールさんのような人に依頼することになるようだ。

 

毎回そうだが、ビバさんの作る朝ご飯は美味しい。それを娘のナイニーカと一緒に食べる。彼女もすっかり女子大生っぽくなり、子供から大人になってきている。今日から借りるWi-Fiルーターの説明も彼女がしてくれる。昔はこの家でWi-Fi繋ぐのも一苦労だったけど、今はあっという間。インドも当然進歩している。

 

それからラトールさんの車に荷物を積み込み、出発した。目的地は郊外にある、自然療法場、ニサルゴプチャールだが、まずは両替をするべく、街中を走る。何と今日は平日だと思っていたが、祝日らしい。両替所が開いているか心配だったが、ちょうど開いていた。中に入ると今日のレートが電光掲示板に出ているのだが、ラトールさんはそんなものは見ずに、ここのマネージャーと交渉を始める。結果、表示よりかなり高いレート(勿論空港よりは非常に高いレート)で両替が成立した。有り難い。

 

それから30分ぐらい乗っていくと、ニサルゴプチャールの門が見えた。自然療法というから大自然の中を想像してしまったが、ここは街中。出入りの管理は厳重だ。何とか中に入り、事務所へ。だが今は昼休み中で手続きは出来ない。既にほぼ食事が終わっている食堂へ行き、二人でランチを食べながら待つ。食後辺りを見回すと、木々が生い茂り、確かに環境は良い。

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