明るくなった上海旅2015(5)茶館を巡る

お洒落なお茶屋さん

昼はHさんの奥さん、Wさんと会うことになっていた。彼女は私の上海留学時代の中国語家庭教師。やはり30年の付き合いになる。北京生まれだが、大学は上海で過ごし、普通話は標準的、上海語も広東語も話し、更に日本語も英語もできるのだ。凄い!彼女はHさんの転勤で、香港や上海で暮らすことが多かったが、今般子どもの関係で20年ぶりに東京に住むという。私は先週も東京で彼女に会った。京都でも会った。そしてなぜか同じ日に上海にいた。

 

ホテルの前の道に人だかりができていた。以前中国ではよく人だかりを見たが、最近は少なくなったように思う。覗いて見ると、セクシーなモデルの女性が3人、男性が一人プラカードを持って立っていた。どうやら通信会社の4Gの宣伝のようだ。彼らは特に何もしないのだが、周囲のスタッフがしきりに大声で、『この瞬間を微信にアップしましょう。友達に知らせましょう』と叫んでいる。確かに微信がこれだけ普及すれば、微信による口コミ、が宣伝が莫大な効果をもたらすのかもしれない。

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地下鉄の駅で待ち合わせた。彼女は前日微信で大学時代の友人たちにメッセージを送り、上海で行くべきお茶屋さんを調べていてくれた。その1つがホテルのすぐ近くにあるというので、一緒に出掛けてみた。地下鉄2号線の上、愚園路を歩いていくと、プラタナスの並木があり、ちょっと懐かしい雰囲気になる。道路沿いの古い建物(1925年建造)の下を潜ると、そこには庶民の生活空間があるはずだった。だが今やこの辺も地価が高騰しているから、既に住人は変わっているかもしれない。その奥の方へ進んでいくと、看板もないその店は扉を閉じていた。ベルを鳴らすと店員が開けてくれる。

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何とも言えない癒しの空間がそこにあった。ここは春の日の午後に転寝をするのに適しているように見えた。小さな庭で名物の猫が微睡んでいる。ただ我々はランチを食べていなかったので、一度退散し、近くの日本料理屋で定食を食べて出直すことになった。因みにこの定食屋、30元ぐらいだったが、味は本格的、量も多い。地元のサラリーマンで一杯だった。私が食べたからあげ丼、親子丼の鶏肉が唐揚げになっていたのだが、なかなか美味かった。

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そして再度お茶屋さんに戻る。喫茶去、という名前のこの茶館、上海に2店舗あるという。お茶の種類も豊富で、目移りする。Wさんが『美味しいプーアール茶が飲みたい』というので、目に入った『2002年易武古茶樹』と書かれた生茶を注文。ふくよかな味わいが広がる。よく考えてみればこのお茶、非常に値段が高かったのだが、それだけの価値のある味だった。この茶を何杯も飲み、ダラダラと過ごす。日本人女性Kさんも合流するというので待っていたが、ついに彼女は来なかった。その間約3時間、ここに座って、まったりした。

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お客ははじめ、誰もいなかったが、気が付くとほぼ満員。商談する男性もいたが、比較的若い女性がダラダラお茶を飲んでいる姿が印象的。店内はかなり広く、座席の種類はバラバラ。皆都合の良い、好きな席についている。間隔がかなり空いており、話をするにも、何とも都合がよい。密談している人もいたかもしれない。決して安くないお茶代でありながら、お客が多い理由は、ここにあるのだろう。勿論レトロな雰囲気もあるかもしれないが。

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Wさんが『もう1軒行きましょう』という。茶館のハシゴ?まあ言われるままに付いていく。タクシーに乗り、徐家匯の方へ行った。到着したところは実に立派な高層ビル。こんなところ茶館があるのか。ビルの2階には場違いな空間が存在していた。何だここは、と言いたくなる豪華な雰囲気。中に入ると、お茶を飲む場所は基本的に個室。4人部屋もあれば6人部屋もある。ここは商談などミーティングの場所として使われる茶館だと分かる。最近の上海のトレンドだろうか。部屋は半分ぐらいが使われており、中は見えないが、打ち解けた雰囲気でミーティングが行われているのだろう。我々は2人で6人ぐらいは入れる部屋に案内される。

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スタッフの女性もこまごまとサービスしてくる。最低消費は1人、100元。お茶は美味しいとは言えないが、種類は揃っている。そしてヒマワリの種などの他、お菓子、フルーツなどもふんだんに出てくる。兎に角お客を招待する空間、豪華に飾り、場所代を取り、単価を上げる作戦だ。このスペースの家賃は相当に高いのだろう。そして極めつけは、何と麺が無料で食べられるということ。隣の麵屋から運ばれてきた牛肉麺は大盛りであり、とても茶館で食べる物とは思えない。ここで商談して、お茶を飲んで、麺で腹を満たして、家に帰る、または次に飲みに行く、というコンセプトだろうか。面白いが、ゆっくりお茶を楽しむ雰囲気はなく、私には縁がない場所だろう。上海には様々なタイプの茶館ができており、本当に驚く。

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