みちのく一人旅2022(3)金木を歩く

5月17日(火)金木へ

宿の朝飯を食べに行ったら老人男性4人組がいた。何と4人掛けの席に1人ずつ分かれて座り、食べているのだが、お互いの声が聞き取りにくいらしく、どんどん大声で話しながら食べている。こういう光景は滑稽としか言いようがなく、今の日本を象徴しているようにも見えた。

今日は津軽鉄道に乗ってみる。JR駅の隣に如何にも木造の古めかしい駅舎がポツンとある。中に入ると『乗車ですか』と声を掛けられ、切符を買う。ホームへ行くと鉄オタさんと間違われ?写真スポットを案内された。有名なストーブ列車は冬だけ運行だという。1両列車に乗り込むとテレ東の取材あり、乗客に出演を促しているのは何ともうざい。まあ番組制作スタッフも大変なのだろうと思うのだが、旅情を削がれる。

電車に女性ガイドさんが乗り込んできた。テレビ番組用かと思っていたがそうではなく、津軽鉄道の人らしい。八甲田山や岩木山を紹介しながら、手作りパンフと津軽方言を織り交ぜて、一生懸命ガイドしている。こういう努力は称賛したい。それにしても岩木山はきれいな山だ。田んぼに水を張る季節になっている。

金木まで25分、560円。金木で列車通過儀式があったが、私はここで降りた。駅からぽつぽつと歩き始める。太宰疎開の家というのがあり、その先で道を間違えてしまい、神社から三味線会館へ入った。まずは斜陽館(太宰生家)を見学。思ったより大きな家で驚く。金貸し業の部屋まであり、戦前の津島家の財力が良く分かる。

戦後の農地解放で津島家はこの家を手放し、小説の名を取った斜陽館という名で旅館が経営された。津軽ヒバの大豪邸には洋間もある。一度は泊まってみたい宿だった。今日は高校生の社会科見学か、案内がうるさくて紹介ビデオが聞こえず、ちょっと残念だった。

次に共通券(1000円)で三味線会館へ向かう。中では津軽三味線の生演奏が始まる。弦をたたく?独特の音が会場に鳴り響く。津軽三味線は明治からと意外に新しい。仁太坊という人に始まる。生きていくための芸という言葉が響く。弦楽器はインドから?三味線は500年前のサンシンが起源らしい。もう少し伝来の歴史を調べるべし。吉幾三の父で民謡歌手の鎌田稲一や三橋美智也の名が出て来る。

三味線会館の向かいにある雲祥寺は太宰がタケに連れられて遊んだ寺だと覚えている(小説『津軽』)。山門が格好良く、津軽大観音もある。そのまま太宰ロードを歩いて金木小学校まで行く。天気が晴らしく、更に芦野公園を探してまた道を間違える。ようやく公園へ入ると、三味線発祥の地、太宰像と記念碑を見かける。吊り橋を渡って、駅の方へ回っていく。

芦野公園駅は無人だが、旧駅舎を利用したカフェは有名だ。駅舎珈琲を注文して周囲を眺める。雰囲気は新しい。ここでドリンクだけでなく、きっぷを買うことができる。ダラダラしていると、さっきの取材が来るというのですごすごと退散した。だが結局取材はなく、カフェのオーナーが大きく手を振って列車を見送ってくれた。ガイドさんがまた登場して、細かい情報をくれる。まさにありがとうという思いだ。そして相変わらず岩木山はきれいだ。

五所川原で降りると、マルコーセンターで『のへ丼』を食べてみる。5年ぐらい前に始めた新サービスだというが、150円でご飯を買い、別に好きな刺身を魚屋で買って、のっけて食べる。テーブルで座って頂く。650円で満腹だった。更にアテンダントさんからの情報で、『あげたい』にも挑戦。タイ焼きを揚げるのだが、ご主人は一言『こっちの方が絶対旨い』と。130円で開運祈願? 

立佞武多会館にも寄ってみる。正直あまり期待していなかったが、実際に見るとその迫力はすごい。立佞武多は1998年失われたと思われていた設計図が見付かり、80年ぶりに復活したという。今は1年に一回、夏祭りに登場する。4階でビデオを見て、そこからスロープを降りながら歴史などを見て1階まで歩く。予想外の立ち姿、その巨大さに十分満足。650円。

疲れたので宿へ戻り、風呂に入って相撲を見る。夜は食べるところが見付からず?腹が減ったところでコンビニへ行き、冷やし中華を買ったつもりが??なぜかごまだれ味のご当地中華だった。正直シンプルな冷やし中華が食べたかった。

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