ようやく熊本・宮崎茶旅2016(5)台風で突然熊本城へ

919日(月)
熊本へ

翌朝、五ヶ瀬は靄っていた。折角の景色もよく見えない。取り敢えず朝ご飯を食べる。納豆やノリでまたご飯を沢山食べてしまう。九州の米ではなく、山口の美味しいコメだったらしい。これは太るしかない。そして今回、1つの決断をしていた。今日はY夫妻と別れて、一人宮崎市に向かうはずだったが、何と台風が接近していた。このまま宮崎に行くには、バスで延岡へ出なければならない。

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だがそのバスに乗るための足さえも確保できていないし、更には宮崎まで行けても、そこに台風が直撃する予報となっていたので、行くのを諦めた。宮崎ではお知り合いと会う予定だったが、昨晩急きょキャンセルした。何とも申し訳ない。そしてネットで熊本空港から成田へ行くフライトを予約した。そのフライトは夜の7時だったため、熊本経由で福岡へ戻るY夫妻の車にそのまま便乗することになった。

 

五ヶ瀬の周りももう少し歩いて見たかったが、雨も降り出し、出発時間もあったので、次回に譲る。車は一路熊本市へ向かった。私には地理の知識がなかったのだが、五ヶ瀬から宮崎市へ行くより、熊本市へ行く方が近いというのだ。熊本と言えば、昨日一つの疑問をMさんにぶつけてみていた。佐賀のOさんが言っていた、九州紅茶の祖、可徳乾三について、知っていることはないかと。すると彼はすぐに電話を入れた。相手は山鹿のFさんという茶農家だった。

 

『熊本に行くことがあったら、寄ってみたら』と言われた。山鹿と言えば、明治初期に茶業伝習所が開設されたまさにその場所だった。Fさんはその伝統を受け継ぎ、山鹿紅茶を作っているらしい。実に興味深かったが、山鹿がどこにあるかもわからなかった。結局今回は電話で、ヒアリングしたが、可徳についての情報は知りうる以上には出て来なかった。歴史というのは埋もれてしまうものだろうか。これからは気に留めて調べて行こう。

 

4.熊本
震災の街

車に揺られること、約2時間で熊本市内に入った。真っすぐ熊本城へ向かう。雨のせいか、3連休ながら、車はそれほど多くはなかった。駐車場のトイレの屋根瓦が崩れ落ちていた。数日前にたまたまNHKのテレビで見た熊本城、その崩れているところを生で見ると、その感じ方は全然違っている。きれいに崩れている訳がなかった。勿論立ち入りも出来ない。加藤清正の像はビクともしていないが、城は壊滅的な状況だ。

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お昼を食べに行く。Y夫妻は最初から帰りに熊本で食べる物を決めていたので、それに従う。アーケードにある中華料理へ向かう。ここにご当地グルメ、たいぴんえん(太平燕)がある。12時前でもすでに何人もが並んで待っている。太平燕は元々福州料理だったが、明治期に熊本に入り、春雨スープにちゃんぽんの具材が載っている感じだった。セットメニューとして酢豚が付いたが、これをスーバイコウと呼んでいる。なぜだろうか。日本の中華料理屋は時々理解できないことがある。

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更に重たくなったお腹を抱えて、次に進む。どうしても食べたいアップルパイがあるという。南阿蘇産のリンゴが詰まったパイは確かにうまかった。ただ腹が破裂しそうになる。女子はスイーツは別腹というが、私の腹は1つだった。苦しい!また熊本城付近に戻り、お土産にいきなり団子を買う。そして車で熊本駅まで送ってもらい、Y夫妻と別れた。今回は本当に最後までお世話を掛けた。感謝。

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後は熊本空港に行くだけだったが、時間がかなりあったので、もう一度熊本市内を歩くことにした。荷物をコインロッカーに預ける。ちょうど雨も止んでいたので、市電に乗らず、熊本城を目指して歩く。古い街並みが所々に残っていたが、その古い建物がいくつも崩れていた。お墓も倒れていた。震災から5か月が経っており、基本的には平静だが、一度崩れたものは元には戻らない。ゆっくり歩いて見ると、どうしても目につく。

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結局歩いて駅まで戻り、バスで空港に向かった。バスは30分ぐらいで空港に着いたが、私が乗るジェットスターだけ、チェックインカウンターが離れていた。そしてそこへ行くと『台風が近づいているので、大幅な遅延または結構の可能性がありますが、よろしいですか?』と聞かれる。宜しい訳がないが、他に手立てはない。もし本当に飛ばなかったら、自分で宿を確保するのだろうか。かなり不安になる。

 

この頃から雨脚が強くなり、フライトが飛んでこなくなる。飛んでこなければ、こちらからの出発もない。JALANAもフライトは遅れていた。我がLCCの前途は暗い。昨晩予約した時は、宮崎の方へ上陸すると言っていたはずなのになぜ。後悔先に立たず。あとは祈るのみ。6時を過ぎると、急に飛行機が飛んで来るようになった。台風は既に鹿児島に上陸しているとニュースが伝えていたが、なぜか熊本空港への影響は少ないようだった。ついに我がフライトも飛んできた。そして僅か15分遅れただけで奇跡的に熊本を離れた。飛行機が飛びあがると目をつむり、起きた時は成田だった。今回は幸運だったのか、それとも不運だったのか。いずれにしても、それが私の旅だった。

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