西寧散歩2011(3)バブル崩壊?ゴーストタウン

8月22日(月)
(7) 博物館では骨董市が

翌朝も早く起きた。陳さんから朝ごはんの場所も聞いていたが、やはり昨晩の食べ過ぎが効いて、何も食べられない。取り敢えず散歩へ。隣の公園では数人のおじさんが鳥かご持参で集まっていた。皆自慢の鳥を連れているらしく、朝から元気よく批評会をしている。

清真と書かれたレストランの前には長い行列が出来ている。名物の麺でも売っているのだろう。皆立ち食いしているから、余程美味いのだろう。それでも私は近づく気にもなれない。市内は至る所で開発や改修の工事が進められている。6階建てのビルがあり、1階にケンタッキーが見えた。そうだ、ケンタッキーで粥を食べてみようと、中へ入ると従業員が数人こちらを見て、あれ、という顔をした。何か悪い事でもしたかと思っているとマネージャーがやって来て、「今は営業していない」と言う。何故だろうか。

反対側に道を見ると、どこから店の従業員が皆整列し、訓示が行われている。その後突然皆が踊り出す。いや、踊りではなく、朝の体操らしい。中国ではよく見られる光景ではあるが、皆で体操するというのは、日本からでも取り入れたのだろうか。何となく、天下の公道でするようなことではない気がするのだが。これも宣伝?

陳さんから「折角だから博物館へ行け」と言われていたので、博物館を目指す。地図はあるのでその通り行ったつもりだったが、通り過ぎてしまう。図書館はあったが月曜日で休み。何やらいやな予感。ちょうど陳さんから電話があり、再度博物館の場所を聞いて辿りつく。

この博物館、実に立派。しかも前の広場がやけに大きい。これは北京の天安門広場や歴史博物館をイメージして作られたものかもしれない。しかし、入ろうとすると、警備員が「今日は休館日」と冷たく告げる。実は扉は空いていたのだが、何と中では骨董市が開かれていた。骨董市に貸し出したのなら、博物館も開けて欲しい所。しかしやむを得ない。

(8) ゴーストタウン

そのままホテルへ戻ろうかと思ったが、まだ時間もあるし、ということで、気になっていた駅へ行く。駅、ここは青蔵鉄道の起点、一応話題の場所かなと思ってみる。バスで行こうとしたが、よく分からないのでタクシーに乗る。

聞けば、青蔵鉄道の駅は昨年新駅に移ったとか。西寧の市内ではかなり西の方に新しい駅があった。その途中、旧市街から離れると、そこには巨大なマンション群が。新市街地を造成したらしい。運転手によれば、「3年前開発が始まった時は1㎡1,000元だったが、今は6,000元と言われている。基本的に売り出された所は全て売れているはず」と。

それにしても何棟ものマンションがあるのに、人が歩いている気配もない。運転手曰く、「ガスに問題があるとかで、誰もまだ入居していない。今はちょうどいいが、冬にガスが無ければ死んでしまう」と。確かにガスが通っていなければ生活は出来ない。しかしこの巨大なマンション群に誰も住んでいない、しかも今後いつ入居するか分からない、というのは如何にも中国らしい。

帰りはバスに乗ってみたが、いくつもある新区のバス停は全て素通りだった。当たり前か、誰も住んでいないのだから。それにしても、もしこれが不良債権だったら・・・。ちょっと怖くなるゴーストタウンであった。

因みに駅はプレハブの出来合い。取り敢えず新区に合わせて移したのかもしれないが、それは誤算だったかも。ただこの季節、どこへ行く切符もなかなか手に入らないらしい。駅前には乗客以上に多くの人々が切符を買うために並んでいた。そうか、切符を買うために暴動にでもなったら大変なので、人が少ないこの場所に移したのかもしれない。

(9) お気楽タクシー運転手 嘆く

バスで何とかホテルに戻り、チェックアウト。陳さんより「空港へはタクシーで行くように。運転手はメーターは使わないので100元で交渉せよ」と言われていた。ホテルのフロントのお姐さんも「今は観光シーズン、100元では行かないかもね」と脅かす。

本当は空港バスにでも乗って行きたいが、バス乗り場までが離れており、荷物があるからそこまでタクシーで行かねばならない。流石にそれは面倒である。ホテル前でタクシーを探す。午前11時なのに意外と来ない。そんなにタクシーはないのか。

ようやく空車がやって来て、運転手に「空港」と告げるとすかさず、「100元」との答えが返ってきた。想定問答のよう。運転手は話好きでこちらのことなどお構いなしにどんどんしゃべって来る。

「ここいらのタクシーは殆どが自分の車で商売している。だから賃料を払う必要もなく、焦るやつはいない。行きたくない所には行かないから、空港行きは交渉になる」のだそうだ。夏は観光シーズンでかき入れ時だと思うのだが、働きたくなければ家でテレビを見ている、そうで、いい暮らしである。

空港へ行く高速に乗ると「この辺の不動産は高くなったなあ、どんどん再開発しているけど、金は外の省から来るんだ。損しても彼らの金さ」と言い放つ。確かに省都であるし、他の都市と比べて開発が遅れていたのだから、資金が流入する訳だ。投資資金は彼らの金ではあるが、それで潤う地元民もいることは話に出ない。

ただ地方政府の汚職はひどい、と嘆く。「賄賂が横行しているのに、公務員の給料はどんどん上がって行く。民間人は上がらない。どういう訳だ?」と憤慨する。中国の不安が溢れていた。

3. 北京まで  (1) 1杯58元の緑茶でネット接続

僅か20分で空港に到着。やはりこれで100元は高い。特に地方では相当高いのだろう。運転手は満足げに帰って行った。西寧も立派な空港である。冬は殆ど観光客が来ないようで、夏だけの空港という感じもするが、さらに追加の建屋を建造中。一体何に使うのか。

今回は東方航空へチェックイン。今回は特に何もなかった。当たり前か。また空港でネット探し。ウルムチではネット屋さんがあったが、ここではカフェ。コーヒーは飽きたので緑茶を一杯58元も払って、パスワードを教えてもらい、無事接続。

周囲を見ていると、観光客と思しき、男女が高いコーヒーを平然と頼み、リラックスしてお話している。このカフェ、常時ほぼ満員だ。市内で牛肉麺1杯6元なのに、この落差は何だ。空港側も新しい建屋を立てる前に空港のネット環境を整えて欲しいが。いや、商業主義のご時世、それは無理か。

そして遅れることもなく、搭乗が開始され、機内へ。ここもまた満員。この便は北京行でなく、西安行。北京直行便は全て売り切れており、仕方なく、乗継便に乗る。それでも戻れるだけマシ。

(2) 西安空港で
1時間半ほどで西安に到着。預けた荷物をターンテーブルから取り、そのまま2階のトランジットカウンターへ。東方航空から東方航空への国内線乗り継ぎなのに、荷物がスルーされない、何故だろうか。いや、スルーされて無くなるよりマシと考えることに。

しかしカウンターでチェックインする際、一番早い便に乗りたいと告げると「ちょうど今締め切ってしまった。残念」と言われ、本当に残念。やはり荷物を取る時間が命取りに?西安空港で2時間待つ。

西安は大きな空港なので、手持ちの銀行カードで利用できるラウンジがあるはずだと探すが見当たらない。他のラウンジに入って聞くと何と「荷物検査場の外にある」という。そんなー、殺生な。それならトランジットカウンター行かずに、一度外へ出たのに。後の祭り。

そしてまたまたネットを繋ぐためにカフェへ。また58元コーヒーを飲み、電源を確保し、パスワードを教わる。何だかすごく浪費している感じ。ネットなど繋がなくても、空港でボーっとしていればよいのに、と自分でも思う。でもなぜかそれが出来ない。中毒か?

このカフェは搭乗口のすぐ横にあり、ウエートレスが親切に搭乗開始を教えてくれた。こんなちょっとしたサービスが意外と大切。これまた中国の進歩の一つを見た思い。でも私はトイレに行きたくなり、そこから走ってトイレに行ったため、最後尾になってしまったが。

(3) 東方航空
実に久しぶりに東方航空に乗った。自分では先ず選ばないエアラインに乗れることに感謝し、観察しなければならない。南方航空も10年ぶりだったが、東方は記憶にないほど前。当然サービスは大幅改善していると思ったが。

東方のサービスについては、以前より態度が悪い、飯が不味い、などいたって不評。また近年は待遇改善で抗議したパイロットが、飛行中一斉に上海に戻るなど、とんでもない話が横行していた。

西寧‐西安、西安‐北京間、乗ってキョロキョロ見回してみたが、特に目立つ所もなく、目に付くほど悪い所もない。これが中国の標準かと言われると厳しいが、当方の基準も近年大幅にダウンしており、一概に計れない。

まあ、この観光シーズンに定刻に到着すれば御の字か。私の長い長い、新疆・青海の旅は時間に遅れることなく、終わりを告げた。




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